今井美樹の歌手キャリアにおける最大のヒット作であり、今なお日本のポップス史に燦然と輝く名曲『PRIDE』(1996年11月発売)。布袋寅泰が作詞・作曲・編曲のすべてを手がけたこの楽曲は、オリコン週間シングルチャートで1位を獲得し、累計売上160万枚以上を記録するメガヒットとなりました。
この楽曲が制作された1996年は、布袋と山下久美子の婚姻関係が実質的に崩壊へと向かい、今井との関係が公然の秘密となりつつあった緊迫の時期と完全に一致しています。楽曲の冒頭に紡がれる「私は今 南の風に吹かれて」というフレーズ、そして「貴方への愛こそが私のプライド」と高らかに歌い上げる歌詞は、単なるラブソングの枠を超え、世間からの激しい批判を覚悟したうえでの「宣誓文」であったと当時の関係者は述懐しています。
当時の特番インタビューや後の回想録において、布袋自身も「彼女の声という究極の楽器のために、自分の持てるすべての感情とメロディを注ぎ込んだ」と語っています。クリエイターとしての純粋な共鳴が極限に達した結果、名曲が誕生したことは揺るぎない事実ですが、その美しくも切ない旋律の背景には、一つの家庭が崩壊していく過程と、批判に抗いながら愛を貫こうとした二人の抜き差しならない覚悟が刻まれていました。