隅肉溶接とは?開先溶接との違いや強度計算・脚長の基準を徹底解説とは一体何なのか? 専門的な分析を丁寧に紐解いて紹介します。
隅肉溶接とは、略直交またはある角度を持って交差する2つの母材が形成する入隅(いりずみ)コーナー部に、断面がほぼ直角二等辺三角形となる溶融金属を盛って接合する工法です。主としてT継手接合、重ね継手、十字継手、角継手などに用いられます。
設計現場で最も頻繁に議論されるのが「開先溶接(完全溶込み・部分溶込み)」との選定判断です。開先溶接が母材端面を斜めに削り(開先加工)、母材の内部まで完全に溶融・一体化させて母材と同等の引張・曲げ強度を得るのに対し、隅肉溶接は母材端面の開先加工を行わずに表面角部に肉盛りを行います。
項目隅肉溶接(Fillet Weld)開先溶接(Groove Weld)編集部の選定指針母材の前加工不要(切断端面のまま直接溶接可能)必須(V形、レ形、X形などの開先加工)工程簡略化・短納期化なら隅肉が圧倒的優位継手強度・信頼性中〜高(ルート部に未溶着部が残り、応力集中しやすい)極めて高い(完全溶込みなら母材強度の100%を発揮)大荷重・高サイクル疲労部には開先が必須製造コスト安価(加工工数が少なく施工が容易)高価(開先加工機の手配や溶着量増加)過剰品質を避け隅肉を優先するのがコスト設計の基本検査の難易度外観検査・磁粉探傷(MT)・浸透探傷(PT)が主体超音波探傷(UT)・放射線透過試験(RT)が適用可能内部欠陥の非破壊検査は開先溶接の方が高精度
隅肉溶接の最大の利点は、母材の機械加工コストを抑えつつ十分な接合強度を確保できる点にあります。しかし、部材の接触面(ルート部)に隙間が残る構造上、繰返し荷重が作用する環境下では応力集中点となり、疲労破壊の起点となりやすい点に注意が必要です。