受験生や保護者が最も頭を悩ませるのが、「高専の偏差値60」と「公立普通高校の偏差値60」は同じ意味なのかという点です。結論から言うと、母集団とカリキュラムの特異性から、両者が指す学力の質には決定的な開きがあります。
普通科の進学校では英数国理社の5教科を均等に学び、大学入学共通テストを見据えた網羅的なペーパーテスト対策を進めます。これに対し、高専は入学直後から高校3年分の数学をわずか1年半から2年程度で駆け抜け、線形代数や微分積分学といった大学教養レベルの解析学、さらには工業力学や電磁気学などの専門実習へ突入します。つまり、高専の偏差値は「高度な理数リテラシーに耐えうる適性」が強く反映された指標です。
進路設計や学力特性の差異を整理したのが下表です。
高専と普通高校の比較を行う際、もう一つ見落とせないのが選抜形式です。高専入試は一般学力選抜に先駆けて1月頃に推薦選抜が行われますが、高専推薦入試難易度は中学校内の内申点(通知表評価)に強く縛られます。多くの高専で出願基準を「3年間の評定合計が5段階中4.0〜4.3以上」と規定しており、主要5教科だけでなく実技4教科も含めた学年トップ層の内申書が求められます。倍率も1.5〜3.0倍に達し、推薦で不合格になった受験生が2月の一般学力検査に再挑戦するケースが一般的です。
学力選抜における高専合格点ボーダーラインは、傾斜配点を含めた満点(600点〜700点満点換算など各校規定)に対して概ね70%〜78%が安全圏です。難関高専の人気学科では80%以上の得点が求められ、1問のケアレスミスが命取りになるシビアな争いが繰り広げられます。