アイウェアショップのベテラン店長や眼鏡作製技能士への取材を重ねると、丸顔メガネ選び方失敗の真相として、驚くほど画一的なひとつの行動パターンが浮かび上がってきます。それは、「フレームの横幅ばかりを気にして、天地幅(レンズの縦幅)と眉・顎の距離感を軽視している」という点です。
丸顔の骨格的特徴は、縦(眉頭から顎先まで)と横(左右の頬骨の最も出っ張った部分)の比率がほぼ「1対1」である点にあります。このふっくらとしたキャンバスの上に、トレンドだからといって縦幅が40ミリを超えるような大きなラウンド型やボストン型を置いてしまうと、視覚心理学でいう「デルブーフ錯視」が働きます。大きな円の内側に視線が奪われる結果、フレーム下部から顎先までの距離が極端に短く見え、相対的に頬の下膨れ感が強調されてしまうのです。
「小顔に見せたいから、あえて大きなメガネを選んだ」という自己申告こそが、最大の罠にほかなりません。店頭のフィッティング現場では、顔全体の面積に対してフレームが大きすぎることで、かえって余白の広さを際立たせてしまっているユーザーが全体の約6割に達するという調査データもあります。失敗を防ぐ第一歩は、「顔を隠す」発想を捨て、「錯視を利用して輪郭を分断・再構築する」視点へと切り替えることにあります。