麻疹に関してネット空間で飛び交う言説の中には、医学的根拠の乏しい誤解が少なくありません。自衛のために知っておくべき3つの盲点を暴きます。
誤解①:「アルコール消毒を徹底していれば防げる」
麻疹ウイルスはエンベロープ(脂質二重膜)を持つウイルスであるため、アルコール消毒薬自体は有効です。しかし、主な感染ルートが「空気感染」である以上、手指をどれだけ消毒しても、呼吸によって吸い込んでしまえば感染を防ぐことはできません。手洗いや消毒は接触感染対策として有用ですが、それ単体で麻疹の侵入をブロックできると過信するのは極めて危険です。
誤解②:「不織布マスクをつけていれば満員電車でも安心」
一般的な不織布マスクは、咳やくしゃみによる飛沫(5マイクロメートル以上)を防ぐのには効果的です。ところが、麻疹ウイルスを含む飛沫核(5マイクロメートル未満)は極めて微小であり、マスクの繊維の隙間や顔との密着していない隙間から容易に侵入します。空気感染を物理的に防ぐには、医療従事者が使用する密着性の高い特殊な「N95マスク」が必要であり、日常のマスク着用だけで空気感染を完全に遮断することは困難です。
誤解③:「大人の麻疹は子供より軽く済む」
これは完全な逆です。成人になってから麻疹に初感染した場合、小児期よりも高熱が長引き、肺炎や脳炎(頻度は1,000人に1人程度)、肝機能障害などの重篤な合併症を併発するリスクが格段に跳ね上がります。入院加療が必要になるケースも珍しくなく、大人だからと軽視することは命取りになります。