メリーバッドエンド(Merry Bad End)とは、「陽気な、喜ばしい」を意味するmerryと、「悲劇的結末」を意味するbad endを組み合わせた和製英語です。略称として「メリバ」が広く定着しています。最大の特徴は、「結末の幸・不幸が観測者の視点によって180度反転する」という認識のねじれにあります。
ネットカルチャーの記録や当時の同人コミュニティの言及ログを辿ると、この言葉がネット上に誕生したのは2010年代前半のTwitter(現X)およびpixiv周辺と確認されています。それ以前から物語の類型としては存在していたものの、従来の「鬱エンド」「悲劇」という大雑把なラベルでは掬い取れなかった「歪んでいるが当人たちは救われている」という特殊な後味を表現するために、市井の書き手や読み手たちの手によって自然発生的に命名されました。
英語圏の文芸用語である「ビタースイート(Bittersweet)」がほろ苦さと前進を含意するのに対し、メリーバッドエンドは徹頭徹尾、主観的な多幸感と客観的な地獄が同時並行で成立する状態を指します。誰の視点に立って物語を受け止めるかによって、「ハッピーエンドとの境界線」が揺らぎ続ける点に、この言葉の持つ本質的な魅力があります。