海外では「特定危険犬種(Breed-Specific Legislation: BSL)」として、ピットブルやその派生種の所持を全面禁止する国が少なくありません。英国では1991年の危険犬法(Dangerous Dogs Act)によりピットブルの所持が禁止され、2026年には事故の急増を受けて大型のアメリカンブリーXLも禁止対象リストに追加されました。では、日本国内における法的扱いはどうなっているのでしょうか。
結論から言えば、2026年現在の日本において、国の法律(動物愛護管理法)レベルでピットブルやアメリカンブリーの飼育を一律禁止する規制は存在しません。環境省の指針に基づき、一定の管理基準を満たせば個人での飼育や繁殖が認められています。
ただし、地方自治体の「動物愛護管理条例」に目を向けると、状況は大きく異なります。一部の都道府県や政令指定都市では、過去の闘犬事故や咬傷被害の歴史的経緯を踏まえ、特定の犬種を「特定犬」に指定して厳重な飼育義務を課しています。
代表例が茨城県です。茨城県動物愛護管理条例では、以下の条件に該当する犬を「特定犬」と定義しています。
1. 人に危害を加えるおそれがあるものとして規則で定める8犬種(土佐闘犬、秋田犬、紀州犬、ジャーマン・シェパード、ドーベルマン、グレート・デーン、セント・バーナード、アメリカン・スタッフォードシャー・テリア(アメリカン・ピット・ブル・テリアを含む))
2. 体高60cm以上かつ体長70cm以上の大型犬
3. 過去に人を咬んだことがある犬
これらの特定犬を飼育する場合、飼い主は「頑丈な固定式のおり(ケージ)の中で飼養すること」「出入口の見やすい場所に『特定犬』の標識シールを掲示すること」「屋外を散歩させる際は運動能力の高い成人が制御できる短い引き綱をつけること」などが厳格に義務付けられています。札幌市や水戸市、佐賀県などでも同様の規制条例が運用されています。
ここで実務上の摩擦を生んでいるのが、新興犬種であるアメリカンブリーの扱いです。条例制定時にアメリカンブリーという犬種が存在しなかったため、自治体の窓口では「外見および血統的背景からピットブルと同等とみなし、特定犬の基準を適用する」と判断される事例が多発しています。飼育を検討する際は、管轄の保健所や動物愛護センターへの事前相談が必須となっています。