季語の世界では、夏は大きく三つの区分に分かれる。初夏、仲夏、そして晩夏。この時間軸を意識するだけで、17音の風景は俄然鮮やかさを増す。
まず「初夏(5月頃)」。新緑を吹き抜ける「薫風」、水田に水が張られる「代掻(しろかき)」、青々とした「青葉」「若竹」が代表的だ。視界が洗われるような爽快感が主役となる。
続いて「仲夏(6月~7月頃)」。梅雨の晴れ間に照りつける太陽、アジサイの花を濡らす雨、そして「短夜(みじかよ)」。「蚊取り線香」の煙や「氷水(かき氷)」といった、暮らしの風景が生き生きと立ち現れる時期だ。
そして「晩夏(8月頃)」。ギラギラとした「雲の峰(入道雲)」、夕暮れを染める「夕立」、けたたましく鳴く「蝉時雨」。さらに「向日葵(ひまわり)」や「西日」など、夏のピークと陰りを同時に孕んだ情景が句に深みを与える。