名作ドラマ『北の国から』で脚本家の倉本聰氏が描き出したのは、厳しくも豊かな北海道の大自然と対峙し、折り合いをつけながら生きる人間の営みだった。麓郷地区をはじめとするロケ地巡回ルートは今なお多くの旅人を惹きつけてやまないが、その牧歌的な景観のすぐ足元でもヒグマの痕跡が確認されている。
自然を敬い、一定の距離を保ちながら共存するというかつての暗黙のルールは、個体数の増加と生息域の拡大によって激しい軋轢を生み始めている。美しいロケーションを守りながら、人命をいかに確実に防護するか。半世紀にわたり培われてきた自然観の再定義が、いま富良野に突きつけられている。