「自分たちに足りないのは練習量ではなく、データの精度だった」
そう語る監督の言葉には、確固たる自信が満ちていた。数年前まで県大会の序盤で姿を消すことが多かった福山市立。転機となったのは、タブレット端末を活用した独自の打撃アナリティクスと投球分析の導入だった。選手たちは毎日の練習後、自らのスイングスピードや打球角度、相手投手の球種割合を即座にアプリで共有。各自が課題を浮き彫りにし、無駄のないアプローチを繰り返した。
指導者が一方的に指示を出す昭和型のスパルタ指導はここにはない。練習メニューの約半数は、選手同士のディスカッションによってその日の状態に合わせて決定される。「やらされる練習」から「自ら掴み取る練習」へのシフト。これが、限られた時間の中で私立強豪の選手たちに対抗し得る実力を育む土壌となった。