小腸で吸収されなかったオリゴ糖は、大腸において強力なプレバイオティクスとして覚醒する。このメカニズムの科学的基盤を築いたのが、日本の腸内細菌学の世界的権威である東京大学名誉教授の故・光岡知足博士だ。博士は腸内フローラ研究の黎明期から、特定の難消化性糖質が善玉菌の選択的なエサとなり、腸内生態系を一変させる事実を実証し続けてきた。
大腸に届いたオリゴ糖は、日和見菌や悪玉菌には利用されにくく、主にビフィズス菌をはじめとする有用菌の貴重な栄養源となる。これらを食べた善玉菌は爆発的に増殖し、発酵の過程で短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)を産生する。この短鎖脂肪酸が腸内環境を弱酸性に保ち、悪玉菌の増殖を抑制するとともに、腸管バリア機能の強化や代謝の活性化に寄与する。腸内細菌叢のバランスを劇的に改善する一連のプロセスは、半世紀にわたる微生物研究の賜物である。