税制の複雑化という社会的な痛みを、最大のビジネスチャンスへと昇華させた業界がある。SaaS(クラウド型ソフトウェア)市場を牽引するフィンテック企業群だ。特に、freeeやマネーフォワードをはじめとするクラウド会計プラットフォーム各社は、インボイス特需によって記録的な新規契約数とストック収益の拡大を記録した。
電子帳簿保存法への対応と重なったことで、従来の手書きやエクセルによる管理は事実上不可能となった。請求書の受取から発行、適格事業者番号の自動照合、税率ごとの仕訳まで、あらゆる経理業務をソフトウェアに頼らざるを得ない環境が強制的に創出されたのだ。毎月のサブスクリプション料金を払い続けるユーザーが増え続ける限り、会計テック企業は制度が生み出した極めてスマートな「民間勝者」として君臨し続ける。