現代の私たちは、Googleマップに行き先を決められ、AIにおすすめの店を提示されて生きている。最短ルート、最高効率。それが正義だった。しかし、この夜間イベントはその真逆を行く。参加者はスタート時にスマートフォンを特殊なポーチに封印され、手渡されるのは古びた手書きの地図と、謎めいた詩だけだ。
「最初は不安でした」と語るのは、東京から参加した大学院生のサクラさん(23)。「でも、スマホを見ないで歩く京都の夜は、信じられないほど濃密。五感が研ぎ澄まされていくのが分かりました」と、彼女は興奮気味に語る。暗闇の中、風の音や木々のざわめき、そして通りすがりの他人の囁き声すべてがヒントに思えてくるという。