数字は嘘をつかない。だが、真実のすべてを語るわけでもない。
一時期、才賀紀左衛門のアメーバブログはランキングの頂点に君臨していた。朝起きてから夜眠るまで、1日に十数回も繰り返される小刻みな投稿。娘のための朝食、練習風景、知人との外食、そして時折差し込まれる意味深な心情の吐露――。何の変哲もない日常の断片が、アクセス数という名の現金へと変換されていく錬金術の構造がそこにあった。
ブログの収益システムは、閲覧数(PV)に忠実だ。好感度が高かろうが、非難轟々であろうが、1PVの価値に変わりはない。才賀はそのシステムを意図してか無意識にか、完璧なまでに駆動させ続けた。投稿のたびに読者は「またか」「言葉遣いがおかしい」「栄養バランスが偏っている」と揚げ足を取り、その確認のために再びページを開く。批判そのものが彼の生活費を支えるという、救いようのない循環が何年にもわたって固定化されていた。