正午近くになると、園舎の廊下には出汁の優しい香りが満ちてくる。旬の野菜をふんだんに使った手作りの給食は、子どもたちの体だけでなく、味覚や情緒を育む大切な教材だ。アレルギーへの厳格な対応が求められる現代において、調理室と保育現場の綿密な連携は一歩も引けない生命線となっている。
苦手な野菜を前に眉をひそめていた男の子が、友達の「おいしいよ」という声に背中を押され、おずおずと口へと運ぶ。その瞬間に広がる誇らしげな笑顔。自らの手で食事を摂り、友と机を囲む喜びを知ること。それは、生涯にわたって人間を支え続ける根幹の力を育むプロセスそのものだ。