婚外関係に足を踏み入れる者が最も過小評価しがちなのが、背負うべき「婚外関係の慰謝料リスク」と法律上の重い責任です。ネット上の掲示板などでは「証拠がなければ大丈夫」「ホテルに入っていないから言い逃れできる」といった安易な言説が散見されますが、裁判実務はそれほど甘くありません。
民事裁判において、不貞行為の立証は必ずしも性行為そのものの現場写真が必要なわけではありません。「深夜のラブホテルへの出入り」「長時間の密室滞在」「肉体関係を強く推認させる親密なメッセージ履歴」などを複合的に積み上げることで、裁判官は不貞行為を認定します。不貞行為が原因で婚姻関係が破綻し、離婚に至った場合の慰謝料相場は200万〜300万円に跳ね上がります。さらに、配偶者だけでなく関係を持った第三者も「共同不法行為者」として連帯して賠償責任を負うため、双方に莫大な経済的打撃が直撃します。
さらに深刻なのは、金銭や妊娠を巡る「婚外恋愛のトラブル事例」です。生活費の援助や「離婚して一緒になるための手切れ金」という名目で金銭を授受した結果、関係破局後に返済を求められ、恐喝や詐欺まがいの紛争へ発展するケースが後を絶ちません。弁護士実務においても、「手切れ金の約束を反故にされた」「職場に暴露すると脅された」という相談が頻発しています。
そして最たる法的リスクが「妊娠と出産」です。既婚男性と婚外関係にある女性の間に子どもが生まれた場合、「婚外子の認知と相続権」という極めて重大な法的課題が生じます。父親側が認知を拒否しても、DNA鑑定を用いた裁判上の認知請求を行えば強制的に認知が認められます。認知が成立した瞬間から、父親には成人(原則20歳または22歳)までの養育費支払義務が法的に確定します。
かつての民法では、婚姻関係外で生まれた子(非嫡出子)の法定相続分は嫡出子の半分と規定されていましたが、2013年の最高裁判所大法廷決定によって違憲と判断され、法改正が行われました。現在の法律では、婚外子であっても認知されれば、正妻の子と「完全に同等の法定相続分」を有します。一時の気の迷いで始まった関係が、将来的に実家の資産配分や遺産相続を激しく混乱させ、泥沼の骨肉の争いを生み出す決定打になるのです。