Q1:「帰るところにあるまじや」の「あるまじや」とは、具体的にどのような文法・意味ですか?
A1:古語の助動詞「まじ(打消の推量・当然:〜のはずがない、〜てはならない)」に、係助詞・終助詞の「や(反語・詠嘆)」が結びついた形です。「帰るべき場所では絶対にない」「どうして帰る場所などであろうか、いや決して帰る場所ではない」という、強い打ち消しと自戒の意志を表しています。
Q2:作者の室生犀星は、その後金沢と完全に縁を切ったのですか?
A2:完全な絶縁には至りませんでした。詩壇・文壇で名声を確立したのち、犀星は金沢へ幾度か戻り、故郷の美しい自然(特に犀川)を生涯愛し続けました。ペンネームの「犀星」も「犀川の西に輝く星」を意味しています。ただし、受け入れられなかった人間関係や社会的な傷痕は終生消えることがなく、愛と憎しみを生涯抱き続けました。
Q3:この詩が収録されている詩集のタイトルと発表年は?
A3:大正7年(1918年)に刊行された室生犀星の記念碑的な第一詩集『抒情小曲集』です。そのなかの「小景異情」と題された連作の「その二」として発表されました。この詩集の成功によって犀星は詩人としての地位を不動のものとし、親友の萩原朔太郎とともに大正詩壇の黄金期を築きました。