文学の薫るサラダ記念日とは対照的に、7月6日は近代化の歩みと昭和・平成の暗部が深く交差する歴史的な一日でもあります。
1823年:出島に響いた日本初のピアノの音色
1823年(文政6年)7月6日、長崎の出島にオランダ商館の医師として赴任してきたドイツ人博物学者、フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト。彼が荷物の中に持ち込んでいたのが、イギリス製の小型ピアノ(スクエア・ピアノ)でした。これが日本に現存する最古のピアノであり、日本音楽史に西洋楽器が正式に足を踏み入れた瞬間です。この歴史的事実に基づき、7月6日は「ピアノの日」と定められています。
1949年:戦後最大の未解決ミステリー「下山事件」
昭和史の闇として今なお語り継がれるのが、1949年7月6日未明に起きた「下山事件」です。当時の日本国有鉄道(国鉄)初代総裁・下山定則氏が、前日の7月5日に日本橋の三越本店に入ったまま足取りを絶ち、翌6日の未明、常磐線の北千住―綾瀬駅間の線路上で轢死体となって発見されました。人員整理をめぐる労使対立か、あるいはGHQや他国諜報機関の謀略か。自殺か他殺かの結論が出ないまま1964年に公訴時効を迎え、戦後史の巨大なブラックボックスとなっています。
2018年:オウム真理教幹部7名の死刑執行と世界経済の激震
平成の時代において、司法と社会が固唾を呑んだのが2018年7月6日でした。地下鉄サリン事件など未曾有の化学テロを引き起こしたオウム真理教をめぐり、法務省は教団元代表の松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚をはじめとする教団幹部ら7名の死刑を一斉に執行しました(残る6名は同月26日に執行)。教団による一連の凶悪事件で29人が命を奪われ、6,000人以上が被害に遭った平成最悪のテロリズムに対し、司法の手続きが一つの区切りを迎えた瞬間でした。
当時の法務省関係者や報道各社の生々しい記録によれば、朝一番の速報から夕方の臨時ニュースまで列島は異様な緊張感に包まれました。さらに奇しくも同じ2018年7月6日、アメリカのトランプ政権が中国製品に対する制裁関税を発動し、中国側も即座に報復関税を打ち出すという、米中貿易戦争の号砲が鳴り響いた日でもあります。7月6日は、まさに現代の世界秩序と治安の転換点として記憶されるべき日です。