動物病院の診察室で獣医師から告げられる「15歳」という数字。一般社団法人ペットフード協会が公表している「全国犬猫飼育実態調査」の最新統計によると、猫全体の平均寿命は15.6歳前後、完全室内飼育の猫に限っても約16.2歳と算出されています。つまり、15歳を迎えた愛猫はすでに「平均寿命の射程圏」に入っており、統計学的に見ても紛れもない長寿の領域に到達しています。
猫の成長速度は人間と大きく異なり、最初の1年で約18歳、2年で約24歳相当まで一気に大人の階段を駆け上がります。その後は1年ごとに人間の約4歳分ずつ歳を重ねていく計算式が国際的なデファクトスタンダードです。この換算式を適用すると、猫の15歳は人間換算で約76歳。日本の医療制度で言えば、まさに「後期高齢者」に足を踏み入れた状態に他なりません。
もちろん、ギネス世界記録に目を向ければ、米テキサス州で暮らした「クリームパフ(Creme Puff)」が記録した38歳3日(人間換算で160歳以上)という驚異的な超長寿の例も実在します。キャットフードの栄養改善や獣医療の高度化に伴い、15歳を越えて健やかに生きる猫は確実に増えました。しかし、76歳の高齢者が足腰の衰えや内臓機能の低下を抱えるのと同様に、15歳の猫の体内でも目に見えない構造的退行が確実に進行しています。