湿潤療法の普及を牽引した代名詞とも言えるジョンソン・エンド・ジョンソンの「キズパワーパッド」をはじめとするハイドロコロイド絆創膏。しかし、SNSや知恵袋などのユーザーコミュニティを観察すると、「臭いがきつくなった」「傷口がドロドロに溶けて悪化した」というトラブルの生の声が後を絶ちません。現場の皮膚科・形成外科医への取材でも、間違った自己判断による「化膿の見落とし」や「誤ったタイミングでの使用」が大きな問題として指摘されています。
失敗を防ぐためのキズパワーパッド正しい使い方には、絶対に外してはならない鉄則が存在します。
第一に、「怪我をしてから貼るまでの時間」です。出血が止まり、流水で完全に異物を洗い流した直後に貼るのが鉄則であり、すでにカサブタができてしまった傷には貼ってはいけません。無理にカサブタの上から貼ると、内部に雑菌を封じ込めてしまい感染の温床になります。また、貼り付ける前には手のひらでパッドを約1分間温め、粘着面の柔軟性を高めてから貼ることで、隙間からの細菌侵入と体液漏れを物理的に遮断できます。
第二に、「浸出液と膿(うみ)の識別」です。パッドの中央が白くぷっくりと膨らむのは、ゲルが傷の治癒成分を吸って正常に働いている証拠です。しかし、以下の兆候が現れた場合は直ちに使用を中止し、剥がさなければなりません。
- 傷口の周囲が赤く腫れ上がり、触ると熱を持っている
- ズキズキとした拍動性の強い痛みが時間とともに増している
- 白く膨らんだ部分が黄色や緑色に濁り、ドロッとした悪臭を放っている
ここで怪我を早く治す薬と市販品まとめとして押さえておきたいのが、外用軟膏との併用ルールです。ハイドロコロイド絆創膏の下に、ドルマイシンやゲンタシンなどの抗生物質入り軟膏やワセリンを塗るのは厳禁です。油脂成分によって粘着力が失われ、密封環境が破壊されるだけでなく、薬剤が傷口に高濃度で密閉滞留して接触性皮膚炎(かぶれ)を引き起こすリスクがあります。ハイドロコロイドを使う際は「何も塗らず、清潔な肌に直貼り」が鉄則です。一方、傷口が深く乾燥を好まないものの密閉が不安な軽度創傷には、純度の高い白色ワセリン(プロペトやサンホワイト)を薄く塗り、非固着性ガーゼで覆う「簡易湿潤法」も非常に有効な代替手段となります。