日本の大相撲界の歴史を振り返れば、モンゴル出身力士たちが打ち立てた金字塔はあまりにも高い。その先陣を切ったのが、圧倒的なスピードと獰猛なまでの闘争心で土俵を席巻した朝青龍明徳だった。立ち合いの鋭さと変幻自在の投げ技は、従来の相撲のテンポを根底から塗り替えた。
その嵐のような時代の後に現れたのが、歴代最多となる幕内最高優勝45回を記録した白鵬翔である。朝青龍の動的な強さに対し、白鵬は「後の先」を体現する完璧な受即攻の美学を完成させた。相手の攻めを完璧に受け止め、相手の力を利用して無力化するその相撲は、ブフの神髄と日本の伝統様式が最も高度に融合した到達点といえる。
そして両膝の重傷や内科疾患による序二段までの陥落から奇跡の復活を果たし、横綱へと登り詰めた照ノ富士春雄。彼の怪力と決して諦めない精神的支柱は、過酷な自然環境に耐え抜くモンゴルの遊牧文化そのものを象徴している。彼ら歴代横綱の存在は、偶然の産物ではない。必然としての強さがそこにある。