筒井康隆の短編小説を原案に、1983年に公開された『時をかける少女 (1983年の映画)』。本作は当時の角川映画を代表する傑作であると同時に、日本映画の歴史に鮮烈な足跡を刻んだ金字塔だ。メガホンを取った尾道出身の大林宣彦監督は、生まれ故郷の陰影に富んだ風景を舞台に選び、唯一無二の映像美を創り上げた。
映画初主演を務めた原田知世の透明感あふれる佇まいと、どこか危うげな魅力。時間跳躍というSFファンタジーの要素を軸に据えながら、思春期の揺れ動く感情を繊細に掬い取った作風は、今なお青春映画の最高峰として語り継がれている。『転校生』『さびしんぼう』と並び「尾道三部作」と呼ばれるこの作品群は、映画と街が最も美しく共鳴した奇跡の記録といえるだろう。