日本の英語教育界を牽引してきた専門家たちも、直訳の危険性について長年警鐘を鳴らしてきました。
NHKラジオ講座などでおなじみのスティーブ・ソレイシィ(Steve Soresi)氏は、著書や講義の中で「難しい単語を探すのではなく、すでに知っている簡単な英語で気持ちを伝える重要性」を説いています。日本語の「ただいま」という概念をそのまま英語に直訳しようと頭を抱えるのではなく、「自分が今戻ってきたことを相手にどう知らせたいか」という意図に着目すること。それが日常英会話(Daily English Conversation)の第一歩です。
また、数多くの英語学習書を手掛けるデビッド・セイン(David Thayne)氏も、日米の心理的距離感や挨拶の構造的な違いを指摘しています。日本語の挨拶が「定型の儀礼」として機能しやすいのに対し、英語の挨拶は「個対個の対話の開始スイッチ」としての役割を持ちます。言葉そのものを訳すのではなく、その場に流れるコミュニケーションの目的を訳す姿勢が求められます。