万が一、入居後に悪質な隣人に遭遇してしまった場合、感情的な直接対決は絶対に避けるべきだ。テレビ等でもおなじみの弁護士・菊地幸夫氏は、隣人トラブルにおける初期対応の成否が、その後の法的解決の可否を分けると警鐘を鳴らす。いきなり相手の部屋のドアを叩いて怒鳴り込んだり、報復として壁を叩き返す「壁ドン」を行えば、こちら側が加害者として警察に通報されるリスクを背負うことになる。
法的な対抗措置を講じる上で最大の武器となるのは、客観的で改ざんの余地がない「証拠の積み重ね」である。騒音であれば、市販の騒音計を用いてデシベル数(dB)を計測し、日時・持続時間・音の種類を詳細なログとして記録する。同時に、スマートフォンやICレコーダーで音声を録音し、医師による不眠や抑うつ状態の診断書を取得しておく。裁判実務において不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求や差止請求を成立させるには、騒音が社会通念上の「受忍限度」を超えていることを被害者側が立証しなければならないからだ。