彼の真骨頂が遺憾なく発揮された代表作といえば、間違いなく『パパと呼ばないで』だろう。独身のサラリーマン・安武右京が、亡き姉の娘である幼いチーコを育てることになり、米屋の二階で下宿生活を送るという設定は、当時の視聴者の心を鷲掴みにした。破天荒で少しドジな伯父と、ませているが健気な姪。ふたりの掛け合いは、まさに日本のホームコメディにおける一つの到達点となった。
この作品を語る上で欠かせないのが、子役時代の杉田かおるとの神がかったコンビネーションである。「右京さん!」と叫ぶちいさな叫び声に対し、照れ隠しの暴言や不器用な優しさで返す右京の姿は、血の繋がりを超えた人間愛のリアリティを見事に描き出していた。コメディの皮を被りながらも、そこにあったのは高度な人間ドラマだ。毎回のように訪れるクスッと笑える日常と、ラストに訪れる涙腺を刺激する感動。この黄金律を確立したことで、ドラマは社会現象へと昇華していった。