一般の道路を走行する車両とは異なり、電動車椅子は日本の法制度において特殊な位置づけにある。現行の道路交通法において、電動車椅子は「歩行者」として分類されている。そのため、原則として歩道を走行しなければならない。
ここで最大の鍵となるのが、時速6km規制という技術基準だ。人間の平均的な早歩きと同等のスピードであり、歩道上の安全を担保するために制定された。車体構造として時速6kmを超える速度が出ないよう制御されている必要がある。この規制の背景には、歩行者同士の接触事故を防ぎ、高齢者や障害者が安心して利用できるようにするという警察庁や国土交通省の強い意図が存在する。しかし、利用者の生活圏が広がるにつれ、「急な坂道や広い遊歩道ではもう少しスピードがほしい」という本音の焦燥感もしばしば聞かれる。