あの日、超満員の観客が目撃したのは、まさに息をのむような緊迫感だった。試合開始のゴングと同時に、スーパーレックが放った鋭い右ローキックとカーフキックが武尊の左足を的確に削っていく。バンタム級・フライ級を問わず世界のトップを駆逐してきたスーパーレックの蹴りは、重く、速く、そして残酷なまでに正確だった。
序盤から足のダメージを蓄積させられ、誰の目にも武尊の苦戦は明らかだった。しかし、第3ラウンド後半から第4ラウンドにかけて、奇跡のような局面が訪れる。武尊がプレッシャーを強め、スーパーレックをロープ際に追い詰めると、ボディブローから怒涛のパンチラッシュを叩き込んだのだ。会場は爆発的な大歓声に包まれ、誰もが「逆転KO」の瞬間を予感した。だが、スーパーレックの驚異的な打たれ強さと冷静なガードの前に、あと一歩が届かなかった。