論理的な理由が見つからないのに生じる嫌悪感の多くは、脳の情動を司る「扁桃体(へんとうたい)」の働きによるものです。人間の脳は、過去の膨大な経験や記憶、相手の視線の動かし方、微細な表情筋の強ばり、声のトーンといった非言語情報を、無意識の領域で毎秒スキャンしています。
顕在意識では「特に何もない」と感じていても、嫌いな人に対する潜在意識は、過去に自分を深く傷つけた人物の面影や、相手が隠し持っている敵意・不誠実さのサインを先回りして感知しています。つまり、理由はないけど嫌いという直感は、論理的な思考よりも圧倒的なスピードで働く本能的な危機回避システムなのです。
嫌悪感を抱いた自分を責める必要はまったくありません。むしろ、身体が「この相手には警戒せよ」と鳴らしてくれている防犯ブザーとして素直に受け止めるのが理にかなっています。