昭和末期から平成初期にかけて、怪談は一大娯楽へと昇華した。その中心にいたのが、怪談師の稲川淳二氏である。彼の巧みな語り口と情景描写は、口裂け女や「赤いちゃんちゃんこ」といった抽象的な噂話に、肉体的な生々しさと臨場感を与えた。
さらに90年代以降、子供たちの間で爆発的なブームとなったのが映画『学校の怪談』シリーズやテレビ番組『ほんとにあった怖い話』だ。メディアを通した怪談の大量消費は、子供たちの記憶に恐怖のアイコンを深く刻み込んだ。校舎の暗闇と「赤いちゃんちゃんこ」の怪異は融合し、子供時代の共有体験として社会全体に定着していったのである。