原作者である鳥山明が創り出した人造人間・セル編の魅力は、それまでの明朗快活なバイオレンスアクションから一転して、濃厚な怪奇SFファンタジーへと舵を切った点にある。集英社の「週刊少年ジャンプ」連載当時、未来からやってきたタイムマシンと不可解な卵の殻というミステリー仕立ての開幕は、読者を瞬く間に未知の恐怖へと引き込んだ。
デザイン面においても、第1形態の昆虫を思わせる禍々しい姿から第2形態、完全体へと変化を遂げるプロセスは圧巻だ。サイエンス・フィクションの論理と、エイリアン映画を彷彿とさせるホラー的美学の融合。連載誌の少年たちを震撼させたこの独創的なストーリーテリングこそが、後のバトル漫画の方向性を根底から変えるきっかけとなった。