ネット上の掲示板やSNSでは、「八重洲ブックセンターは完全に潰れた」「大手書店チェーンに吸収されて消滅した」といった誤った情報が散見されます。こうした誤解が広がる背景には、いくつかの盲点が存在します。
第1の誤解は、「自社ビルの建て替え=事業閉鎖」という混同です。旧本店ビルは築40年以上が経過しており、耐震性や設備更新の観点からも抜本的なリニューアルが必要な時期にありました。今回の再開発事業において、八重洲ブックセンター側は地権者・再開発組合の一員として参画しており、立ち退きによる完全撤退ではなく、新ビルへの権利変換を経た正当な再出店計画が進んでいます。
第2の誤解は、「リアル書店はもはや超高層ビルに入居できない」という固定観念です。確かにECサイトや電子書籍の普及により、都心部での純粋な書籍物販ビジネスの坪効率はシビアになっています。しかし、大規模複合ビルの開発主にとっては、良質な書店がもたらす「知的プレステージ」と「ビル全体の集客フック(カルチャーインフラ)」は不可欠な要素です。デベロッパー各社も単なるテナント賃料の多寡だけでなく、街の魅力向上を担う中核施設として八重洲ブックセンターの再配置を重視しています。