本作の中盤から終盤にかけて描かれる「那田蜘蛛山編」は、炭治郎たちが初めて十二鬼月の一角である下弦の伍・累と激突する最重要エピソードです。累は、恐怖と暴力によって他の鬼たちを支配し、自らが渇望する「家族の絆」を人工的に演じさせていました。この累の歪んだ支配構造と、炭治郎・禰豆子が見せる本物の兄妹の絆の対比は、単なる勧善懲悪を超えた深いドラマを生み出しています。
さらに物語終盤の第22話・第23話で描かれる「柱合会議」は、鬼殺隊最高位の剣士である「9人の柱」とお館様こと産屋敷耀哉が一堂に会する記念碑的シーンです。初見時には冷徹な処刑人にも見えた柱たちが、なぜ鬼である禰豆子の処遇に対してあそこまで過酷な態度を取ったのか。その背後にある壮絶な過去や覚悟は、のちの『無限列車編』『遊郭編』『刀鍛冶の里編』『柱稽古編』、そして完結作『無限城編』へと直結する伏線となっています。
登場する柱たちの顔ぶれは、水柱・冨岡義勇、蟲柱・胡蝶しのぶを筆頭に、炎柱・煉獄杏寿郎、音柱・宇髄天元、恋柱・甘露寺蜜璃、霞柱・時透無一郎、岩柱・悲鳴嶼行冥、蛇柱・伊黒小芭内、風柱・不死川実弥という圧巻の陣容です。彼らの放つ圧倒的な存在感と、隊律を遵守する冷徹さ、そしてお館様への絶対的な忠誠心は、立志編のラストを強烈に引き締めました。