民間のレジャー施設や都市型水族館の入場料が高騰を続けるなか、福井県海浜自然センターが入館料無料を貫いている理由は、その設立趣旨と行政スキームにあります。福井県農林水産部や環境関連部局の施策資料によると、同施設は営利を目的としたテーマパークではなく、若狭湾国定公園の豊かな海洋生態系を保全し、次世代へ環境教育を提供する「公立の普及啓発施設」として位置付けられています。
展示棟の維持管理費やスタッフの人件費は県の公的予算によって賄われており、地域住民や来訪者が経済的負担なく海洋科学に触れられる環境が整えられています。近年実施された展示リニューアルでは、若狭湾の浅瀬から深海までを再現した大型水槽やデジタル解説パネルが一新され、公立施設とは思えない洗練された空間へと進化を遂げました。
館内には若狭の海に生息する約80種・数千匹の海洋生物が飼育展示されており、地域の海のリアルな生態系を目の当たりにできます。商業施設のような華美なイルカショーこそないものの、知的好奇心を刺激する展示構成は、教育関係者や自然保護団体からも高く評価されています。