黒ひげの規格外の強さを支えていたのが、ブードゥー教の黒魔術と、彼が腰に佩く「トリトンの剣」です。この剣は海神トリトンの力を宿したとされる秘宝で、刀身を振るうだけでアン女王の復讐号の帆やロープを自らの手足のように遠隔操作し、敵船の索具を操って相手の乗組員を拘束・絞殺することができました。船そのものを生きた兵器へと変貌させるこの操船魔術は、従来の海戦の常識を根底から覆す脅威でした。
さらに黒ひげは、ブードゥーの秘術によって自らの意志を持たないゾンビの船員を作り出し、忠実な下僕として船を動かしていました。生きた人間を呪術によって苦しめる「縮み首」や、対象者の肉体を遠隔から痛めつける「人質人形(ブードゥー人形)」の作成など、呪いの力を用いてジャック・スパロウらを手玉に取りました。
他の悪役が不死の呪いに囚われて苦悩していたのに対し、黒ひげは自らの欲望のために魔術を躊躇なく使いこなす「生きた人間の邪悪さ」を体現しており、その精神性の残酷さこそが最大の武器となっていました。