街のメインストリートを歩くと、昭和の面影を残す木造店舗の庇(ひさし)の下で、超高速通信環境を活用してリモートワークに励む若者の姿が目に入る。景観保護区としての趣を守りつつ、建物内部には最新の通信基盤と環境配慮型のエネルギーシステムが組み込まれた。
「建物の外観や歴史的な情緒を壊すことなく、内部の住環境や作業環境をアップデートする。このバランスを極限まで追求しました」。地元で建築事務所を営み、一連の再生計画に初期から携わってきた男性はそう語る。古材の温もりと最先端テクノロジーの同居が、独特の心地よい緊張感を生み出している。
通りに面したオープンカフェでは、長年ここで暮らす高齢者と都市部から拠点を移したエンジニアが、ごく自然に同じテーブルで雑談を交わす。デジタルとアナログが無理なく交差する光景こそ、この地区が手に入れた最大の財産だ。