南国リゾート地として全国的な新婚旅行ブームに沸いた宮崎県で、なぜサボテン料理が生まれたのでしょうか。その背景には、日南海岸の観光開発を主導した宮崎交通の歴史と、1960年代に開園した日南サボテンハーブ園(旧・日南サボテン園)の存在があります。
当時、温暖な気候を生かした一大観光名所として造成された同園には、約130万本ものサボテンが群生し、多くの観光客を魅了しました。その中で「見るだけでなく、五感で南国体験を楽しんでほしい」という想いから、中南米で主食や日常食として親しまれていたウチワサボテンの食用栽培とメニュー開発がスタートしました。
1980年代から1990年代にかけて、サボテンステーキやサボテンアイス、サボテンうどんといったオリジナルメニューは、宮崎観光の目玉としてテレビや雑誌で盛んに取り上げられました。惜しまれつつも同園は2005年に閉園となりましたが、そこで培われたユニークな食文化とレシピは、今も宮崎の知られざる歴史の1ページとして受け継がれています。