大金は時に人の精神を蝕む。佐藤健と高橋一生が出演して話題を呼んだ映画『億男』は、億単位の金を手にした男の葛藤と人間関係の脆さをあぶり出したが、現実の当せん者たちが辿る軌跡もまた驚くほどドラマチックだ。海外の過激なマネー・ドキュメンタリー番組のように、当せんを機に親族が群がり、長年の友人が借金の申し入れに訪れるケースは後を絶たない。
「当たった翌週から知らない番号からの着信が止まらなくなった」と語る元当せん者は、自身の軽率な発言を今も悔やんでいる。口座に振り込まれた大金は、住まいや衣服を瞬く間に豪華に変えたが、引き換えに得たのは人間不信という重荷だった。富を得る準備ができていない者に舞い降りる膨大な現金は、幸福の切符であると同時に、平穏な暮らしを粉砕する凶器にもなり得るのだ。