数多くの恋愛ドラマが制作・消費されていくなかで、なぜ『大恋愛〜僕を忘れる君と』はこれほど長い年月にわたり熱狂的な支持を集め続けているのでしょうか。その核心には、若年性アルツハイマー病という過酷な運命を単なる「お涙頂戴の悲劇」にとどめず、人間同士のかけがえのない絆とユーモアをリアルに描き切った脚本・演出の妙があります。
脚本家・大石静が当て書きに近い形で紡ぎ出した間宮真司(ムロツヨシ)と北澤尚(戸田恵梨香)のやり取りは、従来のロマンチックなドラマにありがちな非現実的な甘さとは一線を画していました。元小説家で引越し屋のアルバイトをしていた無骨な男と、自らの記憶が失われていく恐怖に直面する若き女性医師。境遇も性格も異なる二人が、日常の些細な笑いやささやかな幸福を積み重ねていく姿は、視聴者に強烈な共感と没入感をもたらしました。
現在でも各種サブスクリプションにおけるムロツヨシと戸田恵梨香のドラマ見逃し配信(U-NEXTやTVer等のリバイバル配信)では、特集が組まれるたびに国内ドラマランキングの上位へ急浮上します。「何度観ても涙が止まらない」「日常を大切にしたくなる」といった反響がSNS上で途切れない事実は、本作が時代や世代の枠を超えた普遍的な人間賛歌であることを証明しています。