連日の会見で枝野氏が繰り返し口にした「ただちに健康に影響はない」という言葉は、後に激しい批判の対象となった。だが、この発言の背後にあったのは、当時の民主党政権を襲った壊滅的な情報断絶である。
放射性物質の拡散予測システム「SPEEDI」のデータが官邸中枢に速やかに届かず、現場の線量測定値すらリアルタイムで把握できない。過度なパニックを防止しつつ、段階的な避難を促すためのギリギリの表現が、あの言葉だった。しかし、情報の非対称性と伝達の遅れが、結果として政権と国民との間に大きな溝を生んでしまった事実は否めない。