なぜハザードトリガーはこれほどまでに危険な兵器として描かれたのか。その暴走の理由は、開発者である葛城巧の設計思想と、それを戦兎に手渡した石動惣一(ブラッドスターク)の策略にありました。
ハザードトリガーは、人体のハザードレベルを強制的に引き上げるブースター装置です。しかし、人間の脳は急激な戦闘能力の拡張に耐えられません。システムが限界突破(オーバーフロー)すると、闘争本能だけがむき出しになり、周囲の生体反応を無差別に攻撃する殺戮マシーンへと変貌してしまいます。
戦兎はこの暴走を止めるため、万丈龍我(仮面ライダークローズ)に万が一の際は自分を命がけで止めるよう託し、さらに自爆機能を持つ特殊なスイッチを握らせるなど、極限の精神状態で戦いに身を投じていきました。「誰も傷つけたくない」と願う天才物理学者が、自らを破壊兵器へと変えるトリガーを引かざるを得なかったドラマの構造が、物語の深みを際立たせています。