『NANA』が単なる少女漫画の枠を遥かに超えて社会現象となった最大の理由は、原作者である矢沢あいが描いた容赦のない人間描写にある。理想の王子様など存在しないという現実に向けた冷徹なまなざし。その筆致の頂点に存在したのが巧というキャラクターだった。
昨今、Netflixなどのグローバル配信プラットフォームを通じてアニメ版や関連映像作品が世界中でストリーミング再生され、海外のZ世代を中心に新たな評価が広がっている。言葉も文化も異なる海外の視聴者にとっても、巧の提示する「愛とエゴの葛藤」は、あまりにもリアルで普遍的な問いとして突き刺さるのだ。