この場所の歴史を語るうえで、2019年10月の記録的大雨による被害を外すことはできない。収蔵庫が浸水し、貴重な作品が危機に瀕した。しかし、修復チームと関係者の不屈の情熱により、わずか10ヶ月後には劇的な再開を果たした。創業者である保木将夫氏が「日本の写実画家に光を当てたい」という一心で収集したコレクションは、災害をも乗り越えて受け継がれている。
画家の情熱と、それを守り抜く人々の熱量。その二重の情熱が建物の骨格に刻まれているからこそ、展示室全体にピンと張り詰めた独特の緊張感が漂っているのかもしれない。