本作の原作は、直木賞を受賞した野坂昭如の同名半自伝的小説である。野坂自身、少年時代に神戸大空襲を体験し、妹を養育しながら孤児となった壮絶な過去を持つ。スタジオジブリのスタッフは、野坂の記憶と文学的結実を映像化するにあたり、当時の風俗や建造物、さらにはB-29の飛行高度や進入ルートに至るまで細部を研究し尽くした。
特筆すべきは、劇中における光と影のコントラストだ。B-29がもたらす焼夷弾の強烈な閃光と、兄妹が身を寄せる防空壕の中の暗闇。そして暗闇の中でほのかに光る「火垂る(ホタル)」の儚い光。兵器の持つ絶対的な破壊力と、幼い生命の脆さとの対比が、高畑演出の真骨頂と言える。