五色沼湖沼群をめぐっては、一般的な観光ガイドの断片的な情報から生じる「いくつかの代表的な誤解」が存在します。現場で失望したり予期せぬトラブルに直面したりしないよう、正確なファクトを押さえておく必要があります。
最も多い誤解が、「五色沼とは5つの沼が存在することを意味している」という思い込みです。実際には、明治の磐梯山噴火に伴う泥流が川を堰き止めて誕生した湖沼群であり、このエリア一帯には大小30〜40以上の湖沼が点在しています。自然探勝路から直接鑑賞できる代表的な沼が毘沙門沼・赤沼・みどろ沼・竜沼・弁天沼・るり沼・青沼・柳沼の8つであり、「五色」とは特定の数を指すのではなく、「季節や気候、角度によって多彩な色(五色)に変化する神秘性」を讃えて名付けられたものです。
もう一つの重大な盲点が、「観光地の遊歩道だからスニーカーやサンダルで問題ない」という認識の甘さです。探勝路は高低差こそ約60m程度と緩やかですが、足元には湿地帯を渡る木道、露出した木の根、ゴロゴロとした火山岩の岩場、雨天後のぬかるみが無数に存在します。特に雨上がりは岩や木道が極めて滑りやすくなるため、ヒールやサンダルでの歩行は転倒・捻挫のリスクが極めて高く危険です。防水性のあるトレッキングシューズ、または滑り止めの効いたウォーキングシューズの着用が不可欠です。
また、ツキノワグマの生息地帯である点も忘れてはなりません。裏磐梯全域は豊かな原生林であり、五色沼周辺でもクマの目撃情報が定期的に報告されています。早朝や夕暮れ時に歩く際は、熊鈴を携帯するなど音で人間の存在を知らせる基本対策が求められます。