フレーズの強烈なインパクトに隠れがちですが、土台となった前田製菓の製品開発力と企業努力も見逃せません。大阪府堺市に拠点を置く前田製菓株式会社は、1931年(昭和6年)に創業し、1946年に法人設立された老舗菓子メーカーです。
戦後間もない日本の食生活において、クラッカーはまだ米軍の携行食糧や舶来品のイメージが強く、庶民の日常的なおやつとは言えない存在でした。そうした中、創業者らは「日本人の味覚に合う、香ばしく素朴なクラッカーを作りたい」という情熱から研究を重ね、1952年(昭和27年)に本格的なイースト発酵クラッカーの量産に成功します。
その代表作が、今も愛され続ける前田のランチクラッカーです。厳選した小麦粉を用い、長時間じっくりとイースト発酵させて焼き上げる製法は、サクサクとした軽快な食感と、噛むほどに広がる小麦本来の甘み、絶妙な塩加減を生み出しました。当時としては画期的な個包装技術や携帯しやすいパッケージデザインも功を奏し、『てなもんや三度笠』のタイアップと相まって全国的な大ヒット商品へと駆け上がったのです。