私立無償化の進展に伴い、ネット空間や一部の週刊誌報道では「大阪の公立高校は崩壊した」「公立文理学科もいずれ私立の特進コースに淘汰される」といった極論が飛び交っています。しかし、現場の数値データを客観的に検証すると、この説は完全な誤解であることが判明します。
確かに、定員割れを起こして統廃合の対象となっているのは中堅から下位の公立普通科校です。一方、北野、天王寺、三国丘、大手前などのトップ文理学科に関しては、大学進学実績、優秀な教員配置、進学指導重点校としての研究開発指定、そして何より何万人もの卒業生が築いてきた関西財界・法曹界・医療界における強固な同窓ネットワークにおいて、新興私立を依然として圧倒しています。
また、もうひとつの盲点が「私立完全無償化の隠れコスト」です。大阪府の授業料無償化制度はあくまで「授業料」に充当されるものであり、入学金、施設維持費、修学旅行積立金、制服・指定品代、ICT端末購入代、さらには放課後講座費などの諸費用は保護者の自己負担となります。年間で数十万円規模の差額が生じる現実は、進学後に初めて直面する家計の盲点となっています。
「公立は凋落した」という単純な言説を鵜呑みにして私立特進へ飛びつき、入学後に課される膨大な課題と予備校並みの拘束時間に適応できず不登校やコース降格に陥る生徒も後を絶ちません。表面的な無償化スローガンに惑わされず、公立と私立の教育方針の本質的な違いを見抜く目が求められています。