1990年代に入ると、田中美佐子は名実ともに日本のテレビドラマ界を牽引する「連ドラの女王」へと上り詰めます。バブル崩壊後の混沌とした時代背景の中、彼女が演じた女性像は、従来の従順なヒロイン像とも、現実離れしたトレンディヒロインとも異なる「地に足のついた強さと弱さ」を宿していました。
その代表作が、1995年にTBS系列で放送されたドラマ『セカンド・チャンス』です。3人の息子を抱える気丈なシングルマザー・藤井春子役を熱演し、KinKi Kidsの堂本剛や黒田勇樹らとの絶妙な家族模様を描き出しました。最高視聴率は25.6%を記録し、赤井英和演じる不器用なシングルファーザーとの恋模様は日本中を温かい涙で包みました。
翌1996年には、フジテレビ系列の木曜劇場『Age, 35 恋しくて』で中井貴一とW主演を務めます。結婚生活の倦怠期と不倫の波紋、大人の女性が抱える孤独と欲望を生々しく描き、平均視聴率19.3%を記録。同世代の女性層から熱狂的な支持を集め、「美しく、知的で、どこか脆い大人の女」を演じられる唯一無二のポジションを確立しました。