子供がいなかった野村さんにとって、歴代の愛犬たちは単なるペットではなく「魂を分け合った我が子」そのものでした。特にミニチュアダックスフントやテリア系の小型犬を慈しみ、晩年を共に過ごした愛犬「タロ」との生活はファンの間でも広く知られています。
撮影現場でも愛犬の話になると表情をほころばせ、共演者やスタッフに写真を見せながら楽しそうに近況を語っていた姿が多くの関係者によって証言されています。手記の中では「朝起きて犬にご飯をあげ、散歩に行くことが何よりの健康の秘訣であり生きがい」と綴っており、日々の生活リズムと精神の安定は愛犬との暮らしによって支えられていました。
『渡る世間は鬼ばかり』で演じた青山タキは、小島家や幸楽の面々を時に厳しく、時に温かく包み込む包容力あふれる女性でした。また『家政婦は見た!』の大沢キヌヨ会長は、複雑な人間模様をユーモラスにいなす頼れる存在でした。実生活で子供を育てる経験がなくとも、夫への純粋な愛や愛犬への無償の慈しみを注ぎ続けた経験が、あれほどまでに説得力のある「温かな母性」を醸し出していたのは間違いありません。