八戸の街角を歩いていると、突如として目の前の空間が拡張したかのような錯覚に陥る。信号機や電線を軽々とすり抜けるため、移動時にはコンパクトに折りたたまれていた山車が、広場や主要通りに差し掛かった瞬間、音を立てて上下左右に広がるのだ。
主場面と呼ばれる中央部分がせり上がり、左右の翼が開くと、その横幅は10メートル以上に及ぶ。歌舞伎の演目や神話の一場面を再現した人形たちが、一斉に光を浴びて浮かび上がる光景は息を呑むほど激しい。電気仕掛けのギミックと、手作業で塗り上げられた絢爛たる色彩。古くからのからくり技術と現代のメカニズムが見事に融合した、まさに動く立体絵巻物だ。