美しく繊細なタッチで描かれる絢爛豪華な画面。だが、そこに躍動するのは常軌を逸したギャグだ。魔夜峰央という男は、極めて独特な個性の持ち主である。執筆時はクラシック音楽を流し、ワインを嗜みながらペンを走らせる。その優雅な佇まいとは裏腹に、繰り出すネタは鋭利そのもの。まさに唯一無二の存在だ。
実は本作、作者が当時所沢市に居住していた実体験がベースになっている。締め切りに追われ、引っ越しの狂乱の中にあった。「自分の住む街を自虐的に描く」という突き抜けた発想。白泉社の担当編集者すら驚愕したという執筆秘話は、今や都市伝説のように語り継がれている。